大阪府東大阪市の市立総合病院に勤めていた男性職員が医療費を着服したとされる事件で、大阪府警は13日、同病院の元医事課職員繁田敬治容疑者(58)=同市稲葉1丁目=を詐欺容疑で逮捕し、発表した。府警は容疑を認めているかどうか明らかにしていない。
医療費着服「あり得ない」 繁田容疑者との一問一答
捜査2課によると、繁田容疑者は今年7月ごろ、「局長了解済みの事故対策の還付金やから頼むわ」などと言って、外部委託の病院職員に対し、医療費を払い戻す虚偽の申請書類を提出し、還付金約90万円をだまし取った疑いがある。
繁田容疑者は3月まで病院で医療費の受け取りなどを担当する医事課のナンバー2の総括主幹で、その後、市の美化推進課に異動していた。市は、医療費の精査で不正に気づき、府警に被害届を出していた。
市関係者によると、繁田容疑者は2013年から約3年間、医療費の未収金についても、患者から支払われたのに窓口職員に未払いのままにするように指示した疑いがあるという。市は、合わせて約1億円を着服したとみている。
繁田容疑者は8月、朝日新聞の取材に対し、「僕は無実。たくさんの人が一緒に働いており、もし不正をしていたら気づかれる」などと話していた。
東大阪市の野田義和市長は、「職員が逮捕されたことは遺憾の極み。第三者委員会を設置するなどして市民の信頼の回復に全力で取り組む」とのコメントを出した。