熊本地震で土砂崩れのあった阿蘇大橋周辺で、ドローンによる空撮の準備をする金沢大の調査チーム=熊本県南阿蘇村
小型無人飛行機「ドローン」の災害対策や学術分野での活用を模索する動きが加速している。4月にあった熊本地震では被災地の動画撮影にとどまらず、赤外線カメラを使った建物倒壊の危険度を推定するシステムの試みもされた。人工知能を取り入れた自動制御の研究も進む一方、安全な飛行に関する更なるルール作りを望む声もある。
4月下旬、熊本地震で家屋5千棟以上が全半壊した益城町の町民グラウンド付近から、1機のドローンが飛び立った。地上のモニターで様子を見守るのは、防災計画を研究する金沢大の藤生慎(まこと)助教ら。機体に取り付けた赤外線カメラによる映像が映し出されている。
屋根のうち、瓦とそれ以外では熱の伝わり具合が異なる。熱を感知できる赤外線カメラの映像で見ると、瓦は赤白っぽくなるが、瓦が落ちていると紫色になる。藤生さんはこの映像から、余震によって壊れやすい建物を、できるだけ自動で判別するシステムができないかと考えている。
調査では、道路沿い300メートルほどの家屋被害を撮影。それとは別に、町内を歩き、立ち入りが「危険」や「要注意」などの建物を見分ける「応急危険度判定」の結果も持ち帰った。両者の情報をつなげることで、色から危険度を自動判定できるモデルを作ろうとしている。藤生さんは「赤外線カメラから詳細なデータを取れたので、実現性はあるのではないか」と話す。
火山観測でもドローンが登場している。東京大学の森俊哉准教授は、2014年9月に噴火した御嶽山の噴煙に、同年11月と15年6月の2回、ガスセンサーを搭載したドローンを突入させた。
マグマの影響を測る指標となる、硫化水素や二酸化硫黄を測定。二酸化硫黄の放出量が減少していることなどが分かった。噴火活動が低下しているという判断につながったという。
従来、ガスの放出量測定データ…