ウェスティンナゴヤキャッスルで6月に提供されたランチコースのメイン料理=名古屋市西区
食べきれずに余った廃棄パンなどを食べて育った豚が、ホテルのレストランで再び料理として提供される。愛知県内でそんな取り組みが根付き始めた。食べられるのに捨てられる「食品ロス」対策として注目されている。
■手つかずのパン活用
名古屋市西区のホテル「ウェスティンナゴヤキャッスル」は2014年、余ったパンを豚のエサとして提供する取り組みを始めた。これまでも宴会などでは人数分の1・5倍のパンを焼いていたため、結果的に客が手をつけずに余るパンが出る。エサに活用するのは、客が食べかけて残したパンではなく、この手つかずのパンだ。
豚がおなかを壊さないよう、クリームやカレーなどが入っていないフランスパンやバターロールを袋詰めし、冷蔵庫で保管。週1回、養豚業者「知多ピッグ」(愛知県常滑市)が引き取りにくる。ホテルの店舗で売れ残ったパンも含め年間8600キロが、豚のエサとして再利用される。
このパンを食べて育った豚は、1キロ約2千円で全国の高級ブランド豚に比べて安価だが、口の中で脂がとろけておいしいという。年2回程度、月替わりのランチのコース(税込み3600円)のメイン料理などで客に提供され、今年は6月のランチに使われた。時間をかけてじっくり火を入れる低温調理で、しっとりとした食感とうまみを引き出した。
同ホテルの環境担当、鴻野亜弥…