自民党が野党時代の2012年4月に発表した「憲法改正草案」について、党内で棚上げ論が出始めた。
森英介・党憲法改正推進本部長は15日、下村博文幹事長代行から、衆院憲法審査会長への就任打診とともに、「草案は封印してほしい」と要請されたと記者団に明かした。草案は現行憲法をほぼ全面的に書き換え、「天皇の元首化」「国防軍の保持」を盛り込むなどしており、野党からも批判を浴びていた。
森氏の後任の推進本部長に内定した保岡興治元法相も、下村氏と会談。草案を前面に出さずに野党と協議し、改憲項目の絞り込みを目指していくとの方向性を確認したという。保岡氏は記者団に「草案は非常に保守色が強い。前面に出せば、野党との調整でネックになる」と語った。
一方、安倍晋三首相は15日、東京都内で講演。出席者によると、「憲法審査会は与野党の枠を超えて議論したい。私が色々言うと進まなくなるので黙っている」と述べたという。