舞台「真田十勇士」に主演する中村勘九郎さん=滝沢美穂子撮影
■映画・舞台「真田十勇士」出演、中村勘九郎さん(34)
歌舞伎の垣根を越えていく。そんな亡き父の足跡をたどるかのように、歌舞伎俳優の中村勘九郎が新たな挑戦をしている。「真田十勇士」という同じ物語を、同時期に映画と舞台で、しかも同じ演出家(堤幸彦)で上演する初めての試み。その両作品に主演している。「自分自身を大きくしてくれる」と喜ぶ。
「日本一の兵(つわもの)」とたたえられた真田幸村(加藤雅也)が「実は腰抜けだった」という奇抜な設定のもと、抜け忍の猿飛佐助(勘九郎)が9人の仲間とともに幸村を英雄にすべく奮戦する。幸村親子の情愛や、忍び仲間との愛憎も入り乱れ、何がうそで真実かわからないどんでん返しが繰り広げられる。
「動きっぱなしに、しゃべりっぱなし。今までに経験したことがないほどハードだった」と、2014年の舞台版の初演時を振り返る。歌舞伎以外では初の時代劇だったが、ワイヤアクションを駆使した派手な立ち回りもあり、座る時間すらなかった。
今回の映画版では、初演時の舞台で見せた、テンションが高く少年漫画のヒーローのようなキャラクターに、親がいない愛情の飢えという解釈を加え、佐助像を深めた。CGや爆破など映像ならではの技術をいかし、自らも周囲がとめる中で炎に包まれながら、アクションをやってのけた。「あの緊張感は一生忘れないようにしたい」
映画の経験を舞台の再演に持っ…