イオンが5日発表した2016年8月中間決算は、純損益が53億円の赤字(前年同期は21億円の黒字)だった。中核事業の総合スーパーの不振を金融事業などで補えず、中間決算としては7年ぶりに赤字に転落した。売上高は前年同期比0・9%増の4兆1118億円、営業利益が同0・1%増の723億円だった。
総合スーパー事業は、夏場の台風による売り上げの減少や、ダイエーからイオンに転換した店舗の改装費などのコスト増が響き、営業損益が183億円の赤字となり、前年同期よりも赤字幅が96億円拡大した。金融、食品スーパー、ドラッグストア事業などは営業利益を増やしたが、総合スーパー事業が足を引っ張った。17年2月期については、純損益で100億円の黒字を見込む4月時点の予想を据え置いた。
総合スーパー事業を手がけるイオンリテールの岡崎双一社長は同日の記者会見で、「改装店舗の売り上げを半年で戻す計画がスピードに乗せられなかった」と話した。総合スーパーは衣料品や日用品の専門店などとの競合で客離れが続いているため、子どもが遊べる家族連れ向けの店づくりや保温性の高い下着類といった新商品の開発で巻き返す考えだ。
岡崎氏は、価格戦略で消費者の節約志向の高まりへの対応が遅れているとも分析。売り上げが落ちている洗剤やシャンプーなどは今後、価格を引き下げる方針を示した。(和気真也)