天然エビの殻むきや、身に切れ目を入れる作業をするパート従業員ら。この日の出勤は3人だった=大阪府茨木市のパプアニューギニア海産
好きな日に連絡なしで休んでいいし、嫌いな作業はしなくていい――。パートの従業員にそんな自由な勤務を認めている会社が大阪にあります。サボる人がいるのでは? 会社が回らないのでは? いえいえ、むしろ効率が上がって経費も減ったといいます。
その会社は、飲食店や小売店向けに天然エビを加工・販売している大阪府茨木市のパプアニューギニア海産。正社員は、社長の長男で工場長の武藤北斗さん(41)と、営業や事務もこなす男性の2人だけ。加工作業を担うのはパートの従業員10人で、20~40代の子育て世代の女性が中心だ。
3年前の7月、パート従業員を対象に好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる「フリースケジュール」を導入した。工場長の武藤さんの発案だった。それまでは事前に出勤日を決め、欠勤や遅刻・早退するときは書類の提出を求めていた。
シフトを調整しないと作業に支障が出そうだが、冷凍のエビを扱っているので、出勤する人数次第で1日の作業量を増減できる。
5年前から働くパートの30代女性は、新制度の導入後は子どもが体調を崩しても焦らなくなり、平日が休みのサービス業の夫と一緒に休めるようになった。「他の従業員も家族優先なので、互いに誰が休んだとか気にならない」と話す。
■嫌いな作業しないルール→○×記入し分担
昨年12月からは、「嫌いな作業はしてはいけない」というルールも決めた。エビの殻むきや計量、パン粉をつける作業、箱入れ、掃除など約30の作業工程について、パートに好き嫌いを尋ねたところ、うまくばらけたので導入できたという。月に1回、工程表に好き嫌いを記入してもらい、それに基づいて仕事を分担する。エビを1匹ずつ手で扱う仕事なので、「パートの自主性を高めて働きやすい職場をつくったら、結果的に品質も効率も上がった」という。
武藤さんが8月、朝日新聞の声…