日本弁護士連合会は7日、全国の弁護士が福井市に集まって開催した人権擁護大会で、「2020年までに死刑制度の廃止を目指し、終身刑の導入を検討する」とする宣言を採択した。日弁連が「廃止」を掲げるのは初めて。
宣言は「被害者遺族の厳しい感情は自然で、被害者支援は社会全体の責務」としたうえで、刑罰は犯罪への報いにとどまらず再犯防止につながるものでなければならないと指摘。さらに事件に至る背景にも目を向け、罪を犯した人の社会復帰と人間性の回復を後押しする制度の導入が社会の安全につながるとした。
宣言採択の背景には1980年代に四つの死刑事件で再審無罪が確定し、2014年3月には袴田事件の再審開始決定が出るなど、相次ぐ冤罪(えんざい)事件がある。このため宣言は死刑と決別すべきだとしながら、終身刑導入の検討を求めている。目標期限は、制度廃止を勧告した国連の会議が日本で開かれる4年後にした。
この日は採択に先立ち、24人が賛成・反対の討論を行い、激論を交わした。
袴田事件弁護団長の西嶋勝彦弁護士(東京)は「冤罪が疑われる死刑事件が多くある。誤判がある以上は制度を廃止すべきだ」と訴えた。一方、被害者支援に取り組む高橋正人弁護士(第二東京)は反対討論で「被害者遺族が犯人を殺してもいいのか。死刑の廃止はむしろ秩序を乱す」と批判した。
黒原智宏弁護士(宮崎県)は、…