ハリケーン「マシュー」で倒壊したハイチの家々=6日、ハイチ南西部ジェレミー、ロイター
大型ハリケーン「マシュー」が直撃したカリブ海の島国ハイチの死者数が、7日までに少なくとも572人に上った。ロイター通信が伝えた。マシューは勢力をやや弱めて米フロリダ州付近を通過し、各地で洪水が起きている。米CNNは米国でも1人が死亡したと伝えた。
オバマ米大統領は7日、「これはまだ非常に危険なハリケーンだ」と警戒を呼びかけた。フロリダ州では60万世帯が停電した。同州にあるディズニー・ワールドなどの観光施設や空港が閉鎖され、3千便以上の航空便が欠航になった。
米メディアによると、ハイチでは南西部の被害が大きい。橋や建物の倒壊で、死者数は今後、増える可能性がある。水や食料不足が深刻で、被災者数は35万人を超え、9日に予定されていた同国の大統領選挙は延期された。米メディアはコレラなどが発生する恐れがあると指摘した。国際赤十字はハイチに690万ドルの医療支援を出すという。ハイチでは20万人以上が死亡した6年前の大地震後、コレラの発生で1万人が死亡している。
キューバのメディアによると、同国東部でも多くの家屋が倒壊し、100万人以上が避難した。死者が出たとの情報はない。
マシューは、米東部時間7日午前11時(日本時間8日午前0時)時点の中心気圧は947ヘクトパスカル。強さは5段階のうち上から2番目の「カテゴリー4」だったが、米国に近づき「3」に弱まった。
フロリダ州のスコット知事は6日朝、150万人に避難命令を出した。米CNNは、車で脱出しようとする人々がガソリンスタンドに殺到する様子を報じる一方、警告を無視して自宅などにとどまる人もいると伝えた。(ロサンゼルス=平山亜理)