試合後、笑顔で記念撮影をするセルビアと松阪工の選手たち=三重県松阪市の県営松阪球場
セルビアの高校野球代表チームが9月末から来日し、今月11日まで三重県を拠点に県内や大阪の高校などと親善試合をしている。国の野球人口は約300人で練習や試合環境が限られる中、日本での武者修行は本場の野球を肌で感じる貴重な機会となった。
7日、同県松阪市の県営松阪球場。セルビアの選手たちは松阪工高と対戦。併殺を決め、一時はリードも奪った。4―10で逆転負けしたが、最後は両チームが「トモダチ」と声をかけあい、笑顔で記念撮影した。
今回来日したのは、15~18歳の13選手。同県伊賀市のミキハウススタジアムを拠点に大阪府の早稲田摂陵高、北野高などとも試合をした。
セルビアはサッカー・J1名古屋で活躍したドラガン・ストイコビッチ氏の母国で、サッカーなどの球技が盛んだが、野球の歴史は浅い。ユーゴスラビア紛争のさなかの1991年に野球を伝えたのは、今回選手とともに来日中のニコラ・ブチェビッチさん(43)=セルビア野球連盟事務局長=だ。当時住んでいたクロアチアで野球をしていたが、グラブ二つとボール、バットを持ってセルビアに避難した。その後、チームを作ったり、指導したりして野球が普及していった。
ブチェビッチさんらによると、セルビアに野球用具店はなく、近隣国から手に入れる。球場は一つで、グラウンド状態も悪い。ブチェビッチさんは「認知度が低いので、子どもたちに教えるために小学校に出向いて試合をし、スーパーに勧誘のチラシを置いている。2020年東京五輪の野球が欧州で放送されれば、競技をセルビアでもPRできる」と期待する。
今回の遠征は国際協力機構(J…