避難所の益城町総合体育館にある自室に入る紫垣邦俊さん。他の避難者が退去したスペースはカーテンと段ボールベッドが撤去されていた=12日午後3時48分、熊本県益城町、福岡亜純撮影
熊本地震で被災した人に朝日新聞がアンケートしたところ、3分の1の人が自宅に住むことをあきらめ、別の住宅に住む考えであることが明らかになった。資金のめどが立たず、地震がまた起きる恐れがあるとの理由が多かった。14日で前震から半年だが、8割の人が復興は「進んでいない」と答えた。
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朝日新聞がこれまで3度、避難所でアンケートをした計308人のうち、おおむね1カ月以上避難生活を送った人で、連絡の取れた124人に、現在の暮らしぶりなどを電話で尋ねた。
現在の生活場所は、「応急仮設住宅」が49人で最も多く、「自宅」に戻った人が31人▽「みなし仮設」が19人▽自治体が用意した「公営住宅」6人だった。仮設住宅への入居待ちが長引いているといった理由で、10人は避難所で生活を続けていた。
「今後、どこに住もうと考えているか」を尋ねたところ、「解体・再建した自宅」が39人で最も多く、「修理した自宅」の30人と合わせると56%だったが、「災害公営住宅(復興住宅)」(13人)、「(入居できる期限の)2年を超えても仮設住宅、みなし仮設に住み続けたい」(9人)など、自宅以外を挙げた人が、3分の1を超えた。
理由としては、資金難などで「解体・再建のめどがつかない」、地震の再発や土砂崩れなどの「災害のおそれ」が多かった(複数回答)。自宅が全壊して7月下旬に応急仮設住宅に入った御船(みふね)町の田辺正二さん(67)は「建て直しは金が要るし、近くの土手にひびが入り、いつ崩れるかわからない」と答えた。
57人が自宅を「全壊」と判定…