黒煙を上げる東京電力の施設。奥は都心方向=12日午後4時30分、埼玉県新座市、朝日新聞社ヘリから、嶋田達也撮影
なぜ、埼玉県新座市にある送電施設の火災で、都心部が広く停電したのか。
都内で一時58万戸停電 東電「原因はケーブルの出火」
東電は、山間部や東京湾岸にある発電所から超高圧の状態で電気を送り、基幹となる送電線でつながった各地の変電所で段階的に電圧を下げ、家庭や企業に電気を届けている。こうした電気を流す仕組みは、関西、九州、中部など各電力会社も同じだ。
東電によると、新座変電所は、発電所からの電気を都心部につなぐ重要な変電所のひとつ。新座から東京都豊島区方面の変電所に向かう送電線(城北線)と、練馬区方面に向かう送電線(北武蔵野線)が何らかの理由で燃え、電気を送ることができなくなった。
この2系統は、豊島、練馬両区だけでなく、都心の中枢である千代田区、中央区、港区などに電気を送っている。基幹送電線の電気の流れが火災で止まったことで、都心の広範囲で停電が起きた。新座変電所は無事だったため、新座市周辺はほとんど停電にならなかった。東電は、電気の供給を別ルートに切り替えることで復旧を進め、約1時間後に全面復旧にこぎつけた。
送電に詳しい電力中央研究所の…