世界銀行は5日に最新の「世界経済見通し」を発表し、新型コロナウイルスワクチンの接種が広範囲に行われるとの予測に基づいて、2021年のグローバル経済成長率を4%と予測し、2020年6月の予測値を0.2ポイント引き下げた。しかし中国経済に対しては、1ポイント引き上げて7.9%とした。国際世論はこれに非常に注目している。「経済日報」が伝えた。
「見通し」によると、先進エコノミーの経済の低下幅が小さいこと、中国経済が予測よりもさらに力強く回復するとみられることから、2020年のグローバル経済は低下レベルがこれまでの予想をやや下回って、通年では4.3%の低下になる見込みだ。先進エコノミーの経済成長率は5.4%低下、新興市場と発展途上のエコノミーは2.6%低下するとみられる。このうち中国経済は2%上昇するとし、2020年6月の予測値を1ポイント引き上げた。
中国人民大学国家発展・戦略研究院の劉暁光研究員(同大経済研究所所長補佐)は、「世銀が21年のグローバル経済成長率予測を引き下げたのに対し、中国の予測を引き上げたのは、主に20年第4四半期(10-12月)以来の世界の感染症の状況と中国の感染状況との分化、世界経済情勢と中国経済回復との分化がさらに大きくなったことによる。20年第4四半期以降、欧米は感染症の新たなピークを迎えている。世界の感染症対策期間がさらに伸びたのにともない、世界経済回復のテンポもさらに遅れることになった」と述べた。
感染症はどの国にとっても大きな試練だ。20年に中国は感染症対策と経済・社会発展の取り組みを統一的に計画・推進し、改革開放の深化と外部からの圧力への対処を統一的に計画し、「六つの安定」(雇用の安定、金融の安定、貿易の安定、外資の安定、投資の安定、期待の安定)の取り組みと「六つの保障」(住民雇用の保障、基本的民生の保障、市場主体の保障、食糧・エネルギー安全の保障、産業チェーン・サプライチェーン安定の保障、末端の行政運営の保障)の任務を統一的に計画・実施し、感染症を率先して押さえ込み、企業活動と生産活動を率先して再開し、経済成長のマイナスからプラスへの転換を率先して実現させた。20年の中国経済成長率は2%前後になり、国内総生産(GDP)は初めて100兆元(約1600兆円)の大台に乗る見込みだ。
「見通し」の予測では、21年には先進エコノミーの経済成長率が3.3%になる。中国を含む新興市場と発展途上のエコノミーは5.0%になり、中国を含まなければ、3.4%にとどまる。中国経済の力強い回復により、アジア・太平洋地域は21年に目に見える成長を遂げるという。
中国国際経済交流センター米欧研究所の張茉楠首席研究員は、「世界では新型コロナウイルスの感染拡大が持続し、多くの国が正常な経済の秩序を回復できない状況の中、中国経済は感染症のもたらした『ロックダウン・パラドックス』から早々と抜け出し、自国の順調な回復を実現しただけでなく、グロバール経済にとっての『安定のいかり』になった」と指摘した。
また張氏は、「中国はさらに主体的で積極的な開放によってポストコロナ時代を迎え、世界で最も重要な需要の市場になった。感染症がもたらしたロックダウンと産業チェーンの断裂により、グローバル市場では需要が冷え込み、多くの国がこれを機によりレベルが高く強度も高い保護主義を打ち出した。こうした状況の中で、中国は制度型の開放を重点とした高水準の開放を加速的に推進し、多国間主義を揺るぎなく守り、輸入を積極的に拡大し、グローバル経済の回復に一筋の光明をもたらした」と述べた。
地域的な包括的経済連携(RCEP)の調印、中国EU(欧州連合)投資協定交渉の妥結、中国が環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CRTPP)への加盟を積極的に検討していることなど、一連の措置はどれも揺るぎなく全面的に開放を拡大しようとする中国の決意を示すものだ。中国は国内の大きな循環を主体としつつ、国内と国際的な2つの循環「双循環」が相互に作用し合う新たな発展局面を加速的に構築することで、中国内外の市場の連携、生産要素の共有をより効率的に実現し、中国市場を世界の市場、共有の市場、みんなの市場にし、国際社会にプラスのエネルギーをより多く注入することになる。将来的には、グローバル経済の成長は中国のより高水準で開放型の経済新体制からより多く恩恵を受け、中国の極めて大規模な市場がもたらす波及効果からより多く恩恵を受けることが予想される。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年1月8日