昭和シェル石油との統合で揺れる出光興産=東京都千代田区、北村玲奈撮影
出光興産と昭和シェル石油の合併に出光の創業家が反対している問題で、出光の経営陣は13日、来年4月に予定していた合併を延期する方針を固めた。両社長が同日午後に記者会見して発表する。両社は年内に臨時株主総会を開いて合併の承認を得る考えだったが、それまでに大株主の創業家を説得するのは難しいと判断した。
関係者によると、両社は合併の時期は「未定」とするものの、創業家への説得を続けて合併をめざす方針は維持する。このため、合併に向け、英オランダ系のロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル株の33・3%を取得する手続きは計画通り進める。
両社は昨年7月に経営統合で基本合意し、現在は合併に向けて公正取引委員会の審査を受けている。しかし、出光の創業家が今年6月、昭和シェルとの社風の違いなどを理由に合併反対を表明。創業家側は出光株の33・92%を持ち、臨時株主総会で合併を否決することができるため、出光の経営陣が創業家を説得してきた。だが、創業家の理解を得る見通しがたたず、合併の延期に追い込まれた。
国内のガソリン需要は人口の減少やエコカーの普及などで減り続けており、両社は合併による規模の拡大とコスト削減を進めて生き残りをめざす計画だった。競合するJXホールディングスと東燃ゼネラル石油も来年4月の経営統合を予定している。合併延期が長引けば、戦略の練り直しを迫られることになる。(米谷陽一)