カープとマツダの歩み
プロ野球クライマックスシリーズの最終ステージは14日に第3戦を迎える。広島カープのチームカラーの「赤」に染まるのは球場だけではない。地元自動車メーカーのマツダは赤い車で攻勢。ビール会社や鉄道会社も赤を打ち出す。赤い心で広島は燃えている。
特集:カープ25年ぶりV
■光る「赤ヘル」業績改善に一役
25年ぶりにリーグ優勝した今年、ファンは真っ赤なユニホーム姿で球場を埋め尽くした。今季、球団主催試合の観客動員数は過去最高の約215万人だった。いわゆる「カープ女子」の広島市東区の戸町奈緒子さん(35)もその一人。真っ赤な新井貴浩選手のユニホーム姿で声援を送った。「赤はかわいくてコーディネートしやすい」。帽子などの赤いグッズにもつい手が伸びてしまうという。
初優勝した1975年以来、定着した赤いヘルメット(赤ヘル)が独特の光沢に変わったのは、2013年のことだった。
球団の大株主のマツダが開発した車体の色「ソウルレッドプレミアムメタリック」を赤ヘルの塗装に採用したのだ。鮮やかな一方で深みがあり、陰影が際立つ独特の赤。因果関係はともかく、この年に16年ぶりにリーグ3位になるなど、カープは調子を上げてきた。
マツダがロゴなどに使うのは青だ。だが、このソウルレッドが低迷からの脱却に一役買った。12年末に全面改良した「アテンザ」のイメージカラーに採用すると、顧客が赤の車を選ぶ割合が10%未満から20%へと倍増。以来、ソウルレッドはマツダ車全体のイメージカラーとして新たなブランドづくりに貢献した。経営の改革も実り、業績は12年度から黒字に転換した。
日本で車体色といえばシルバー…