コブラゴールド開会で訓練参加国の国旗などを掲げるタイの兵士たち=14日午前11時32分、タイ・チョンブリ県、大野良祐撮影
米国とタイの両軍が主催する東南アジア最大級の多国間共同訓練「コブラゴールド」が14日、タイで始まった。開会式にはハリス米太平洋軍司令官が出席し、タイとの関係や、東南アジアの平和と安定の重要性を強調した。
東西冷戦期に始まったコブラゴールドは今年で36回目。しかしタイ軍が2014年にクーデターを決行して軍事独裁体制をしいたことから、米国はタイへの軍事支援を一部停止し、訓練規模も縮小された。そんな中、近年では異例の米軍高官の出席となった。
開会式でハリス司令官は「タイは、米国が二国間の防衛条約を結ぶ世界5カ国の一つで、極めて重要な同盟国だ。タイが再び繁栄する民主国家となることを望む。我々は強く安定した同盟国としてのタイを必要としているからだ」などと、繰り返し両国関係の重要性を強調。デイビース駐タイ米国大使も「司令官の出席は、タイの同盟国として、この地域の友人としての米国の役割を象徴する」と語った。
クーデターで米タイ関係が冷え込む間に、中国が軍事的にもタイとの関係を強化。中国製潜水艦導入計画なども進んでいる。南シナ海問題でも東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のなかに親中派が増えつつある。ハリス司令官の出席は、対タイ関係改善とそれを通じた中国牽制(けんせい)のメッセージが込められていると参加国関係者はみている。
訓練には、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアの中核参加国に中国、インドなどのオブザーバー国を加えて計29カ国約8300人が参加する。(バンコク=大野良祐)