再戦を誓い握手する熊本工OB・星子崇さん(右)と松山商OB・矢野勝嗣さん=22日午後、熊本市中央区の藤崎台県営野球場、日吉健吾撮影
延長サヨナラ負けを阻止した「奇跡のバックホーム」で知られる1996年夏の甲子園決勝。対戦した松山商(愛媛)と熊本工の当時のメンバーが22日、熊本市の藤崎台県営野球場で再会を果たした。地震で大きな被害を受けた熊本を盛り上げようと企画した再戦はあいにくの雨で中止となったが、旧交を温め、年内の対戦実現を誓い合った。
甲子園の奇跡のバックホーム再び 震災復興に選手が集結
奇跡のバックホームを動画で
第78回全国高校野球選手権決勝の十回裏、熊本工の三塁走者星子崇(たかし)さん(38)が松山商の右翼手矢野勝嗣(まさつぐ)さん(38)の好返球で、本塁で刺された。2人は2013年末に再会し、「20年の節目にもう一度対戦を」と話し合ってきた。今年4月に熊本地震が起き、「被災地を盛り上げたい」と舞台を熊本に決めた。
20年前に着ていたユニホームに身を包んだ松山商OB12人と熊本工OB20人は、球場で再会すると「おまえ太ったなぁ」などと笑顔で言葉を交わした。
雨がやまず試合は中止になったが、約300人の観衆に、バックスタンドで一人ずつあいさつした。熊本工吹奏楽部OBが「栄冠は君に輝く」を演奏する中、入場し、矢野さんは「野球が縁で再会できた。熊本工との縁は一生もの」。当時の松山商監督、沢田勝彦さん(59)は対戦を「今年中にやりましょう」と宣言。松山商OBがそろって「フレーフレー熊本!」とエールを送った。
星子さんは「20年たっても語り継がれ、幸せ。再戦はぜひ実現したい」。両校OBはその後、当時の熊本工監督で06年に59歳で亡くなった田中久幸さんの墓を連れだって参った。「20年たち、教え子たちは立派に成長しました、と報告しました」。沢田さんは感慨深げに話した。(宮田裕介、板倉大地、枝松佑樹)