四回裏1死、2本の本塁打を許し、安部にも安打を打たれた後、帽子をかぶり直す大谷=白井伸洋撮影
(22日、日本シリーズ第1戦 広島5―1日本ハム)
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8番・投手で、大谷の日本シリーズが始まった。公式戦で投手と打者を一度にこなす。今、大谷にしかできない「リアル二刀流」は2013年6月18日、ここマツダスタジアムであった広島との交流戦が最初だった。その日は、プロ初本塁打を食らった。そして歴史は、繰り返す。
四回、先頭の松山に2ボールからの155キロが真ん中に入った。打球は右中間席へ伸びる。松山には3年前も一発を浴びた。そう、初本塁打の、因縁の相手。よほど悔しかったのだろう。口を真一文字に結び、ファンの赤い波がうねる右翼席を凝視した。1死後、今度はエルドレッドに150キロを中堅右に運ばれる。1イニングはもちろん、1試合2本塁打も今季初だ。
「マウンドがだいぶ硬かった。予想は立てていたが、投げる感覚が違った」。マツダのマウンドは、メジャー仕様で硬めにつくってある。この日は、試合開始後も弱い雨が降り続いたことで水分を含み、重くもなった。「(右足の)蹴りが甘く、しっかり体重が乗ってない球が多かった」。本塁打されたのは、そんな直球だった。
投打で先発出場した試合で敗れるのは、ペナントレース、CSを通算して今季9試合目で初めて。次の登板は第6戦の予定だが、「ここから4連勝して、僕が投げないで勝った方がいいんです」。雪辱の機会はなくてもいい。もう、気持ちは打者に切り替えた。(山下弘展)