アーム社買収について記者会見する孫正義氏=ロンドン
ソフトバンクグループが、英半導体設計会社のアーム社を3・3兆円で買収しました。とはいえ、アーム社幹部は「相乗効果はない」。なぜ買収したのでしょうか。ソフトバンク創業者、孫正義氏のこれまでの経営手法から、その狙いがわかってきます。
「孫さんはとにかくGo Go Go!と」アームCTO
「おもしろいアイデア、結構いっぱいある」アームCEO
エーゲ海に臨むトルコの景勝地マルマリス。ソフトバンクグループの孫正義社長は今年7月4日の昼時、ここのヨットハーバーに面するレストランを借り切った。
ランチに招いたのは、英半導体設計会社ARM(アーム)ホールディングスのスチュアート・チェンバース会長(当時)とサイモン・シガースCEO(最高経営責任者)。地中海で休暇中のチェンバース氏に、孫氏が急な面談を持ちかけたところ、指定されたのが彼のヨットが寄港するこの港町だった。
ふだんは米シリコンバレーにいるシガース氏は、トルコへ呼び出されたことをいぶかしんだ。その1週間前、夕食をともにした孫氏から「IoT(モノのインターネット化)に関して何か一緒にできないか」と意味深長な提案を受けていたからだ。「買収だろうか。いやいや提携の申し入れぐらいだろう……」。機中で自問自答を繰り返し、押っ取り刀で駆けつけたという。
打ち解けた雰囲気のなか料理を楽しんでいると、孫氏が切り出した。「我が社なら御社の事業を加速できる。だから買収したい」
日本企業として過去最高の3・…