故リー・クアンユー氏の半生を描いた漫画「LKYストーリー」=小学館アジア提供
シンガポールを拠点とする現地法人「小学館アジア」が、昨年3月に91歳で死去した同国建国の父、リー・クアンユー元首相の半生を描いた漫画「LKYストーリー」(英語版)を制作した。25日からシンガポールやマレーシアの書店などに並ぶ。
本人の執筆本を参考に、生い立ちから日本統治下での経験、マレーシアからの独立までを描いた。初版はアジア11カ国・地域で計1万8千部を発行予定。11月ごろには日本語訳の電子版も発行する。
小学館は、歴史などの学習漫画のノウハウがある。東南アジア進出の足がかりとして、地元に根ざした題材を漫画にする取り組みの第一弾だ。構想から約3年かけて完成させた。原作・鍋田吉郎氏、作画・藤原芳秀氏のコンビはこれまでに明治期の柔道家、前田光世をモデルとした「コンデ・コマ」を手掛けている。
今年は日本とシンガポールの国交樹立50周年。小学館アジアの加治屋文祥社長は「リー氏の生き様には、日本人も学ぶものがあると思う。彼が何を考え、どんな苦労をしてきたのか、漫画を通じて多くの人に伝えられたら」と望んでいる。(シンガポール=都留悦史)