国連総会第1委員会で議論されている「核兵器禁止条約」の交渉開始決議案について、米国が同盟国に対し、北大西洋条約機構(NATO)やアジア太平洋諸国の核抑止力に影響を与えかねないとして、棄権ではなく反対するよう文書で要求していたことがわかった。決議案は27日にも採択される見通しだが、米国の「核の傘」の下の欧州諸国や日本などが反対にまわる引き金になる可能性がある。
北朝鮮の非核化「見込みない」 米国家情報長官
朝日新聞が入手したのは、米国政府がNATO加盟国に配布した17日付の文書。核兵器禁止条約に対して「第2次世界大戦後の安全保障体制を下支えしてきた長年の戦略的安定性を損ねうる」と強い危機感を表明している。
文書は「核兵器、通常兵器、ミサイル防衛能力の適切な融合に基づいた抑止力はNATOの戦略の核心要素であり、NATOは核の同盟であり続ける」と強調。メキシコなどの非核保有国が提案する核兵器の法的禁止を求める決議案は「核抑止力を非正当化し、NATOの基本政策と矛盾する」として、単に棄権するのではなく反対するよう全NATO加盟国と友好国に呼びかけた。さらに、仮に採択されて交渉が始まっても参加しないよう求めた。
決議案は、8月の核軍縮作業部…