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漫画「スラムダンク」の作者・井上雄彦さん(49)とバスケット選手との対談企画の第6回は、Bリーグの開幕戦でプレーした竹内譲次選手(31)。
特集:「B.LEAGUE 主役に迫る」
■アルバルク東京・竹内譲次選手×漫画家・井上雄彦さん
井上 歴史的なBリーグ開幕戦のコートに立った感想を聞かせてほしい。
竹内 前日練習で会場の代々木競技場に入って、ここが観客でいっぱいになるんだというイメージがわいたら、フワフワした変な気持ちになりました。いままでの開幕戦は、スタートダッシュのために「とにかく勝つ」というシンプルな感情だけだった。今回は、いままでバスケを見てこなかった人も注目しているだろうなと、普段考えなくていいことまで頭をよぎった。いかに格好良くみせるか、も意識してしまった。邪念みたいなものですね。
開幕戦のうたい文句で、僕らのアルバルク東京は「名門」、相手の琉球は「雑草」となっていました。プレーで見せた上で、勝たなければならない、と思いました。サッカーのワールドカップを戦うブラジル代表に似た感覚だったのかもしれません。
井上 会場で試合を見ていて、非常に感慨深いものがありました。あれだけのお客さんがバスケの試合で喜び、楽しんでいる姿は純粋にうれしかった。開幕戦を見ている人たちが選手やバスケそのものに興味を持って、次もまた見ようという感情が、いろんなところで生まれた瞬間だったのでは。あの舞台に立ちたいと感じた子どもたちもいたでしょう。いろいろと想像しました。演出も、初めてバスケを見た人を引き込むために、やれるだけのことはやっていたという印象。多くの人の心をつかめたと思います。
試合後、あの一戦を振り返ることは?
竹内 ありませんね。このチームに移籍し、まだまだ学んでいる最中なので。
井上 これまでずっと日立東京(現サンロッカーズ渋谷)でプレー。なぜ移籍しようと?
竹内 一番は、アルバルク東京の話を聞いて、「Bリーグで絶対に成功してやる」というすごい熱を感じたからです。Bリーグが成功しなかったら、日本のバスケにもう後はないのかなと自分自身も思っていたので。今年で31歳。あと何年プレーできるかと考えたとき、アルバルク東京なら充実した時間を過ごせるのではと感じました。最初から、優勝を義務づけられているチームに移籍したかった、というわけではありません。実際、ここ数年は日立東京でユニホームを脱ごうとまで考えていましたから。