公開された夜叉神立像に生け花が供えられた。後方に映し出されているのは梵字(ぼんじ)=26日午後、京都市南区、佐藤慈子撮影
世界遺産・東寺(京都市南区)の灌頂(かんじょう)院(いん、国重要文化財)で26日、夜叉神立(やしゃじんりゅう)像(平安時代)が報道陣に公開された。暗闇に浮かぶ異形の像には、京都いけばな協会所属の10流派の家元らによる花も供えられ、厳かな雰囲気に包まれた。28日からの「京都非公開文化財特別公開」で公開される。
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秋の京都文化財公開
像は弘法大師空海の作と伝わる。阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の2体あり、ともにヒノキの一木造(いちぼくづくり)。像高2メートル前後と大きく、怪異な表情と蜂が巣くった跡が妖気を放つ。
もとは南大門に安置されていたが、門を通る旅人が礼を尽くさないと罰があたったといい、中門に移され、現在は夜叉神堂にまつられている。今回は特別公開のために灌頂院に移された。
堂内では平安後期の不動明王像や江戸期の弘法大師像も公開される。花を生けた華道池坊の池坊専好・次期家元は「いけばなの原点は仏前供花。仏様に花を手向けるという純粋な思いをご覧になる方にも感じてもらえれば」と話した。
京都市と京都府八幡市の寺社など21カ所が参加する特別公開(朝日新聞社特別協力)は一部を除き28日~11月7日。問い合わせは主催の京都古文化保存協会(075・754・0120)。(久保智祥)