東京都の豊洲市場(江東区)の食品を扱う主な施設下に盛り土がなかった問題で、盛り土を「都の土壌汚染対策」とする方針が、施設設計の前の2009年に決まっていたことが分かった。今年9月の問題発覚以降、都は「盛り土は専門家会議による(08年の)提言」と説明していたが、都が機関決定していたことになる。1日に公表される2回目の検証報告で、機関決定を担当部局が覆し、盛り土をしなかった責任を明確にする。
築地市場の豊洲移転問題
盛り土をする方針は、09年2月につくられた「豊洲新市場整備方針」で示され、当時の石原慎太郎知事が決裁していた。土壌汚染対策を検討する都の有識者会議「技術会議」が同月、敷地全体に盛り土をする内容の報告書をまとめたことを受けて、「会議の提言を都の土壌汚染対策とする」としていた。
しかし、2年半後の11年8月、盛り土をせず地下に空間を設ける設計が都の担当部局内で固まった。当時の担当部長は「整備方針」を作った際も担当部長として決裁書類に押印していた。都は「整備方針」について都議会で繰り返し説明していたが、実際の設計の段階で別の案にすり替わった。
「整備方針」は、担当部局で原文が保管されておらず、今年9月末に公表した盛り土問題に関する最初の自己検証報告書では触れられていなかった。しかし、小池百合子知事の指示によるその後の再検証で資料が見つかり、機関決定に反していた責任も明記されることになった。