国産初のジェット旅客機MRJについて、三菱重工業が11月から社長直轄の事業にする。連結子会社の三菱航空機社長(三菱重工常務執行役員)が事業を率いていたが、5度目の納期遅れが取り沙汰されていることから、親会社が責任を持って事業を続ける意向を示す狙いがある。
31日、三菱重工の宮永俊一社長が決算会見の席上で明らかにした。11月半ばに、社内各部門の40代社員を中心とする「MRJ事業推進委員会」を設置し、トップに宮永氏が就く。ここで量産態勢や納期などを詰め、来年2月をめどに発表する。宮永氏は「プロジェクトにネガティブな印象があってはいけない。三菱重工としての決意をお示しする。長期的な観点での難しい決断は、トップがやった方が良い」と述べた。
また、安全審査をする航空当局から制御システムの修正などを求められていることを明らかにした上で、納期について「(2018年半ばに納入を始める)スケジュールを守るために妥協はしたくない」と語った。延期の可能性は、全日本空輸などの顧客に伝えていることが判明しているが、経営陣が公的な場で認めたのは初めて。(細見るい)