転職前に日産自動車(本社・横浜市)の秘密情報を不正にコピーして持ち出したとして、不正競争防止法違反の罪に問われたいすゞ自動車社員の岡村賢一被告(39)に対し、横浜地裁は31日、懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の判決を言い渡した。近藤宏子裁判長は「転職先で利益を得る目的で営業秘密を取得した動機は身勝手で、悪質だ」と指摘した。
判決によると、岡村被告は日産自動車に勤務していた2013年7月、自動車の商品企画に関する情報ファイル12件をコピーし、転職先のいすゞ自動車へ持ち込む目的で不正に取得した。ただ、情報は転職先で業務に用いられることはなかった。
岡村被告は自動車の製造工程などに関する教本の一部をコピーしたなどとしても起訴されていたが、「営業秘密には該当しない」として一部無罪となった。
判決を受け、日産自動車の広報担当者は「今回の判決は当社の主張が受け入れられたものと認識している」と話した。