東京電力福島第一原発で、外部電源を引き入れている送電線の末端にある鉄塔「引留鉄構(ひきとめてっこう)」が1978年から未点検だったことが発覚し、原子力規制委員会は2日、保安規定違反にあたると判断した。鉄構の一部の支柱が破断するなどしていた。東電は東日本大震災の揺れが破断の原因の可能性があるとしており、付け替えなどの対策を取る。
規制委によると、今年8月、福島第一原発の5、6号機に引き込まれている送電線の鉄構で、支柱が破断するなど44カ所の亀裂が見つかった。この鉄構は、78年8月の5号機の運転開始当初から、点検対象から漏れていた。送電線の末端部は、送電側と発電所側で管理の所管が変わる部分で、発電所側が鉄構の点検の必要性を認識していなかったという。
送電線の鉄構の未点検は、福島第一の別の2系統と、福島第二の2系統でも見つかった。規制委は、別の送電線があるなど原発の安全に影響はなかったとして違反の中で最も軽い「監視」としたが、田中俊一委員長は「東電全体の管理体制が不十分だ」と批判した。