写真⑥「不法移民に仕事を奪われた」と主張し、トランプ氏を熱烈に支持するウィデルさん(左)。自宅近くの空き地に置かれた作業車両はさびついていた=ニューヨークのロングアイランド、金成隆一撮影
■「トランプ王国」を行く:11 @ニューヨーク州サウスハンプトン
米国にも建設作業員の「寄せ場」があるとは知らなかった。
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4月18日。ニューヨーク・マンハッタンを車で出発し、東へ2時間。朝4時にロングアイランド東部の街サウスハンプトンのコンビニに着いた。ここの駐車場に「不法移民」の労働者が集まり、その数は数百人規模になるという。
周囲は真っ暗。しばらくエンジンを切って待った。
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「不法移民が集まる」という話を聞いたのは、熱烈なトランプ支持者の建設作業員トーマス・ウィデルさん(56)からだった。
ニューヨーク5番街のトランプタワー前で、トランプ氏への大規模な抗議集会があった時、ウィデルさんはわざわざトランプ氏を擁護するために仲間と2人で乗り込んだ。抗議する人々に罵声を浴びせられながらも、「トランプは正しい!」と反論していた=写真①。
よっぽどの動機があるに違いない。
そう思って話しかけると、ウィデルさんはこう訴えた。
「人件費が安いからという理由で、不法移民に建設現場の仕事を奪われた。子どもを養うこともできない。牛乳も買えないじゃないか。トランプが言うように、国境沿いに壁が必要だ。今日は大事な20ドルをガソリン代に費やし、ここまでやってきたんだ」
野球帽にもTシャツにも、トラ…