違法建築の是正措置命令が出されている9階建ての賃貸マンション。建築確認申請書類では7階建てだった=大阪府池田市
大阪府池田市は8日、市内の賃貸マンション1棟が建築基準法に違反して建てられ、所有者が再三の是正命令にも従わないとして、マンションの玄関付近に命令の公告書を掲示して入居者に知らせた。建築確認申請では7階建てだったが、9階建てで完成。完了検査を受けないまま、約20世帯が入居しているという。
市審査指導課によると、マンションは市中心部にある「マテリアル菅原」。建築会社を経営する男性が建築主となり、2012年に建てた。民間の指定検査機関に提出された建築確認申請書類などでは、7階建てのワンルーム24戸となっていたが、同年夏にできた建物は9階建てだった。この土地の場合、敷地面積に対する延べ床面積の割合「容積率」の上限は240%で、7階建てが限度。検査機関は市に連絡し、検査済み証を交付しなかった。
しかし男性はそのまま入居者を募集。賃貸住宅の仲介業者のサイトでは、3LDKや1Kなど様々なタイプの部屋が紹介された。市は13年8月、男性に建築基準法に基づき是正を命じた。男性は違法建築と認めたが、改築しないまま、所有権が兵庫県内の女性に移転。市は15年10月に改めて女性に是正を命じた。現状の正確な図面の提出を女性に求め、同法違反容疑で刑事告発も検討している。
建築主だった男性は取材に「都合があってこうなってしまった。反省している」と答えた。女性の代理人弁護士は「是正に向けて対応したいが、経済的に取り壊すのは難しい。入居者もおり、市と話し合いたい」と話した。