トランプ氏の勝利を伝えるニュースが映し出された大型ビジョンを見る人=9日午後6時4分、大阪市北区、高橋雄大撮影
「米国第一主義」や排外的な主張を唱えて支持を伸ばしたドナルド・トランプ氏が、米次期大統領に就任する。世界に衝撃と不安が広がるなか、各国はトランプ新政権の出方を注視している。
【特集】米大統領選2016
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国連の潘基文事務総長は9日、「トランプ氏の新政権が国際社会の結束を強固にすることを望む」と話す一方、クリントン氏について、「女性の社会的地位の向上の力強いシンボル」とたたえた。
韓国の朴槿恵(パククネ)大統領はトランプ氏に祝電を送り、北朝鮮核問題の解決と米韓同盟発展のための協力を呼びかけた。だが、韓国市場はトランプ氏当選をリスクと見なしマイナスに反応。最大野党・共に民主党は9日、防衛費の負担増や通商摩擦を警戒するコメントを出した。
台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統はトランプ氏に祝意を示す書簡を送り、「米台関係は自由、民主、人権などの共同の価値と、平和の推進、経済の繁栄といった共同の利益に基づく」などとして関係強化に期待を示した。
昨年7月に核開発の大幅制限で米国などと合意したイラン。ロハニ大統領は「合意は国連決議に基づき、一国には変えられない」と述べ、合意の破棄を公言していたトランプ氏を牽制(けんせい)した。オーストリアのクルツ外相も、「合意は過去数年間で外交によって達成された数少ない成果の一つだ」と不安を口にした。
「対テロ戦争」で米軍の駐留が続くアフガニスタンは、トランプ氏が過去に「撤退すべきだ」と持論を述べていた。ガニ大統領は声明で、「米国はテロとの戦いのパートナー。新大統領との連携を深めたい」と強調。一方、反政府勢力タリバーンは、トランプ氏に対して駐留米軍の撤退を求める声明を出した。
欧州連合(EU)のトゥスク首脳会議常任議長(大統領に相当)とユンケル欧州委員長(首相に相当)は、連名の声明で「EUと米国が緊密に協力することによってのみ、過激派組織『イスラム国』(IS)やウクライナの主権への脅威、地球温暖化や移民などの前例のない課題に取り組める」と強調した。
EUや北大西洋条約機構(NATO)を主導するドイツでは、排外的主張を掲げるトランプ氏を「憎しみの伝道師」(シュタインマイヤー外相)などと批判してきただけに、国民の衝撃は大きい。フォンデアライエン国防相は「(トランプ氏当選は)大きなショックだ。これから何を実行していくのか注目される」と語った。
フランスのオランド大統領は、トランプ氏の当選は「不確実な時代の幕開けだ」と語った。スイスのブルカルテール外相は「新政権が落ち着くまで時間を与えなければならない。判断は後だ」と発言した。
一方、選挙中からクリントン氏…