渡辺博史・元財務官(国際通貨研究所理事長)
■意思決定の空白期間に懸念 元財務官・渡辺博史氏
タイムライン:トランプ氏、大統領選勝利への歩み
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【特集】米大統領選2016
トランプ氏勝利に市場は株安、ドル安で反応した。ただ冷静さを取り戻せば、年末には選挙前の水準に戻るだろう。米経済は欧州や日本より力強い。一方的に円高ドル安が続くわけではないだろう。
懸念は米国の意思決定で空白期間が起きることだ。財務長官らの人事は議会の承認が必要で、民主党が抵抗すれば新体制の発足に時間がかかりかねない。米国の政治体制が不安定だということは、世界で何か起きたとき、大統領が断固として行動を起こすことができないことを意味する。リーマン・ショックのときも、米大統領選の最中であったため、ショックの前兆への共和、民主両党の対応が遅れ、その後の傷が極めて大きくなった。今回は欧州でも、各国をまとめてきたメルケル独首相の足元が揺らいでいる。金融危機などで、各国が協調して対策を決められなくなるおそれがある。
今後、先行きへの不透明感から…