刑法犯の検挙人数と再犯者の推移
法務省は11日、昨年の犯罪件数や傾向などをまとめた「犯罪白書」を公表した。刑法犯の検挙人数は23万9355人で、3年連続で戦後最少を更新した。このうち再犯者数は11万4944人。前年より3千人以上減ったが、検挙人数に占める割合でみると、過去最高の48・0%だった。犯罪をさらに減らすには、再犯防止が課題となっている。
刑法犯の検挙人数は2005年から減少。認知件数も13年連続で減り、昨年は戦後最少の109万8969件だった。刑務所に入るのが2度目以上の「再入者」は1万2803人で、前年より171人減。受刑者全体に占める再入者の割合は59・4%だった。
11年に出所した人の追跡調査も実施。38・8%にあたる1万1086人が、5年以内に再び刑務所に入っていた。多い事件別にみると、覚醒剤取締法違反事件の5年以内の再入率が特に高く、49・4%。薬物から抜け出せない実態が浮かんだ。窃盗が45・7%、傷害・暴行は36・1%、詐欺は29・8%と続いた。
より長期的に調べると、06年に出所した人の47・6%が10年以内に刑務所に再び入っていた。このうち、2年以内が43・8%、5年以内が86・3%で、大半が比較的短い期間で戻っていた。また、20年前の96年に出所した人を調べると、56・2%が20年以内に刑務所に入っていた。
受刑者の高齢化も進んでいる。昨年受刑者となった人のうち、65歳以上の高齢者は2313人。受刑者全体に占める高齢者の割合は10・7%で、いずれも過去最高だった。高齢者の再入者の割合は全体よりも高く、69・6%だった。
白書は「ひとたび過ちを犯した人を孤立させず、長期にわたって見守る必要がある」と指摘している。(金子元希)