政府は15日、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が7日に行った皇室制度などの専門家への第1回ヒアリングの議事録を首相官邸ホームページで公表した。有識者会議のメンバーとの間で、天皇の退位を認める場合の特例法の是非や、公務の範囲をめぐり意見が交わされた。
7日にヒアリングした5人のうち、2人が退位に賛成し、2人が反対。政府が検討する一代限りの退位を認める特例法には3人が反対した。議事録では5人がそれぞれ約20分で説明した見解と、約10分の質疑応答すべてを紹介。A4判で40ページにのぼる。
議事録によると、退位に慎重な意見を述べた古川隆久・日大教授は「特例法は前例となるため、実質は恒久制度化とあまり変わらない」と指摘、「中途半端ではないか」と述べた。所功・京都産業大名誉教授は「当面は高齢譲位を可能とする特例法を迅速に成立させ、将来的には皇室典範を改正したらよい」とした。
また、いまの天皇陛下になり、被災地訪問など公務が増えていることを踏まえ、会議メンバーからは「どこまでを公務とするか大きな課題ではないか」といった質問が出た。
退位に賛成したノンフィクション作家の保阪正康氏は「公務が天皇によって違うことはあって当然だし、なければおかしい」とし、公務の範囲は柔軟に考えるべきだと指摘した。平川祐弘・東大名誉教授は「陛下は立派に仕事をしてくださったが、それを天皇の役割の規範と考え、できないから退位するとなるとかえって悪いことだ」と述べた。