経済協力の協議を進める調印を交わし、握手する世耕弘成経産相(右)とロシアのウリュカエフ経済発展相=3日、モスクワ、高木真也撮影
ロシアの連邦捜査委員会は15日、ウリュカエフ経済発展相を、国営石油会社ロスネフチがかかわる取引を巡って200万ドル(約2億1600万円)の賄賂を受け取った容疑で拘束、本格的な捜査に着手したと発表した。現職閣僚の身柄拘束は極めて異例だ。
ウリュカエフ氏は、世耕弘成経済産業相・ロシア経済分野協力相が進める日ロ経済協力のロシア側窓口を務めており、12月のプーチン大統領訪日に向けた交渉が大きな打撃を受けるのは避けられない状況だ。
連邦捜査委員会の発表によると、ウリュカエフ氏に対して連邦保安局(FSB)が内偵を進めていた。ロスネフチが石油会社バシネフチの株式の過半数を取得する取引をめぐり便宜を図り、11月14日に賄賂を受け取った疑いがもたれているという。(モスクワ=駒木明義)
■交渉の停滞、菅官房長官は否定
菅義偉官房長官は15日午前の記者会見で、ロシアのウリュカエフ経済発展相が拘束されたことで、日ロの経済協力交渉が停滞することはないとの考えを示した。「経済分野を含む日ロ関係全体を発展させていくという考えにまったく変わりはない」と語った。
ウリュカエフ氏との交渉窓口の世耕弘成・ロシア経済分野協力相は同日の会見で「この間会ったばかりで大変驚いている」としたうえで、「日本政府とロシア政府で約束されている作業については、ロシア側にも誠実に対応してもらいたい」と述べた。