信州大は15日、不正を疑う情報が寄せられていた、子宮頸(けい)がんワクチンの影響などに関する厚生労働省研究班の研究内容について、「不正は認められなかった」とする調査結果を発表した。研究班は信州大医学部の池田修一教授(脳神経内科)が代表を務める。不正を疑う通報があり、信州大は外部の有識者を招いた調査委員会を9月に設置し、捏造(ねつぞう)や改ざんの有無を調べていた。
調査の対象は、池田教授と、いずれも信州大医学部の教授、特任教授の計3人。池田教授は、研究班の成果報告会や厚労省への報告書の中で、マウスの実験で子宮頸がんワクチンで脳障害が起きる可能性を示唆する内容を発表していた。
調査では、聞き取りや実験ノートなどから不正はなかったと結論づけた。ただ、予備的な段階の実験結果にもかかわらず、断定的な表現をするなどしたと認定。調査委は、訂正を公表するとともに、科学的証明ができる方法で検証実験をするよう求めた。
池田教授は「捏造も不正もなかったことを実証していただき、安堵(あんど)しました。引き続き子宮頸がんワクチン接種後の副反応に苦しむ女児たちの診療に全力を注ぎたいと思います」とするコメントを発表。一方、不正の疑いを月刊誌で指摘したジャーナリストの村中璃子(りこ)さんは「『不正なし』との結果を聞き、非常に驚いています。十分研究不正にあたる行為です」とするコメントを出した。