トランプ次期米大統領と安倍晋三首相との17日の会談は、トランプ氏が当選を決めた後、初の外国首脳との面会とあって米国でも盛んに報じられた。選挙戦で在日米軍基地への負担増や日本の核保有容認などに触れてきたトランプ氏のもとに、懸念を募らせた日本が駆け付けた、というトーンが目立つ。
「信頼できる指導者と確信」安倍首相、トランプ氏と会談
特集:ドナルド・トランプ氏
ロイター通信は「日本の外交と安全保障の核である同盟の将来の強度に、日本の指導層が神経質になる中での会談」と伝えた。同盟国への米軍経費の負担増要求、日本の核保有容認の示唆、環太平洋経済連携協定(TPP)への反対姿勢などのトランプ氏の公約に対し、安倍首相や他のアジアの指導者は「恐れを抱いている」と指摘。特にTPPは、安倍首相の経済改革の「大黒柱」だとした。
CNNは、渡米前に安倍首相が「他の世界の指導者に先駆けて次期大統領に会えることを光栄に思う」と記者団に語ったと紹介。トランプ氏が核保有の容認を示唆したことは、日本にとって「開いた口が塞がらないほどの驚きだった」と指摘したうえで、就任前の早い時期に会談が設定された理由は、日米同盟の今後への日本側の懸念があるとの専門家の談話を伝えた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、TPPなどで強い姿勢で臨むべきだとの官僚からの助言を安倍首相が拒絶し、個人的な信頼構築を優先したとの見方を紹介。9月の訪米時に民主党候補のクリントン氏とだけ面会したことがトランプ氏との関係構築を難しくすると、安倍首相が心配したからではないかとの見方が専門家から出ている、と指摘した。
AP通信は、自衛隊の役割拡大を模索する安倍首相の姿勢は、同盟国に負担増を求めるトランプ氏と一致すると指摘している。(ニューヨーク=金成隆一)