陥没事故の起きたトンネル工事現場につながっている「立て坑」。底の方に地下水がたまっていた=福岡市博多区
福岡市のJR博多駅前で起きた陥没事故で、市は20日、陥没現場から50メートルほど離れたところにある「立て坑」(直径14メートル、深さ28メートル)を事故後初めて公開した。事故の影響で地下水が流れ込み、底から4メートルの深さまでたまっている。市は地下の状況は今のところ安定しているとみている。
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市によると、立て坑は市営地下鉄のトンネル工事現場に資材を運ぶための穴で、底部から水平方向に延びる連絡坑(長さ約120メートル、高さ5・5メートル)で陥没現場直下のトンネルとつながっている。連絡坑にも地下水がたまっており、中に人は入れないが、無人カメラで調べると、トンネル付近では土砂が斜めに流れ込んでいたという。水位の上昇など目立った変化は見られないとしている。
トンネル工事を再開するには立て坑などの水を抜く必要がある。市交通局の岸本信恭工事事務所長は「今は安定しているが、水を抜くとバランスが崩れる可能性はある」と話し、国が進める原因究明を待つ考えを示した。(土屋亮)