東京電力福島第一原発=22日午前10時53分、福島県、川村直子撮影
22日早朝に発生した福島県沖を震源とする地震の影響で、東京電力は福島第一原発の建屋の地下にたまった汚染水を移送する設備を手動停止した。地震の揺れで配管が破断していた場合、移送中の汚染水が漏れ出る恐れがあるため、念のため移送を止めたという。
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第一原発の建屋には地下水が流れ込み、汚染水が増え続けている。そのため、毎日約800トンの汚染水をくみ上げて移送し、放射性物質などを取り除く処理をしている。移送が停止すると汚染水が増え続け、建屋からあふれ出る懸念があるが、東電は「すぐにあふれ出ることはない」と説明し、設備の点検後に移送を再開する方針だという。
また、東電によると、福島第一原発と第二原発で22日午前6時半過ぎ、約1メートルの津波を観測した。第一原発では、標高10メートルにある2、3号機の原子炉建屋で放射線量を下げる除染や、原子炉格納容器の調査などの作業が行われていた。津波警報を受けて全員が構内の高台に避難した。けが人はなかった。第一原発で異常は確認されていないという。
東日本大震災後、東電は標高10メートルの敷地の南東側に、砕石を金属ネットで覆って2~4メートル積んだ仮設防潮堤を置いている。ただ、津波の勢いを弱めるのが主な目的で、東側などからの津波は防げないという。
原子力規制委員会によると、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)と東北電力女川原発(宮城県)で異常は報告されなかった。福島第一、第二原発も含め、原発周辺の空間放射線量に変化はないという。