宅配便大手・佐川急便東京営業所(東京都江東区)の運転手が駐車違反での検挙を逃れるため知人らを身代わり出頭させていた問題で、警視庁は22日、同社の社員ら6人を犯人隠避教唆と犯人隠避の容疑で逮捕し、発表した。同営業所では、身代わり出頭が20件以上繰り返されていた疑いがあり、同庁は常習化していたとみて実態解明を進める。
佐川急便を家宅捜索 駐車違反で身代わり出頭させた疑い
逮捕された社員は3人で、いずれも同営業所係長の佐藤謙二(35)=江東区北砂7丁目=、高橋竜一(41)=千葉市中央区神明町=、当時運転手の田郷真人(31)=東京都江戸川区南葛西2丁目=の各容疑者。ほか3人は元社員の男(42)とその弟(42)、委託先の社員の男(37)。いずれも容疑を認めているという。
交通捜査課によると、6人の逮捕容疑は、2014年11月18日と今年4月22日、営業所の別の運転手2人が配達中に駐車違反をし、後日警察署で手続きをする際、身代わりに元社員の弟や委託先の社員を出頭させ、検挙を免れたというもの。係長2人が違反した運転手2人に「身代わりという手があるよ」と提案し、元社員らに身代わりを探すよう依頼していた。出頭した人には違反した運転手から2万~2万5千円の報酬が支払われていた。
違反した運転手ら3人についても、犯人隠避教唆容疑などで書類送検する。
捜査関係者によると、同営業所では、運転手が交通違反をすると配達業務を禁じられたり、昇進しづらくなったりすることがあり、逮捕された係長の1人は任意段階の調べに「身代わりがまかり通る社内の雰囲気だった」と話したという。
同庁が今年5月、駐車違反のデータを捜査していたところ、大型免許を持っていない人が佐川急便のトラックで駐車違反をしたとして警察署に出頭していたケースが複数あることが判明。9月に東京営業所を家宅捜索し、裏付け捜査を進めていた。
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社員が逮捕されたことを受けて佐川急便は22日、「従業員の逮捕については誠に遺憾。関係者のみなさまにご心配とご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。今後も引き続き警察の捜査には全面的に協力していく」とのコメントを出した。