23日午前、ソウルで日韓GSOMIAに署名する長嶺安政駐韓大使(左)と韓民求・韓国国防相=韓国国防省提供
日韓両政府は23日午前、日韓の防衛情報を共有する基礎となる「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を締結した。ソウルの韓国国防省で、長嶺安政駐韓大使と韓民求(ハンミング)韓国国防相が署名した。2012年6月に韓国が直前に署名を延期したGSOMIAは、4年半を経て締結された。
韓国側は当面、北朝鮮の核・ミサイル開発や軍事挑発に限って情報交換を進めたい考え。自衛隊の情報衛星やイージス艦、対潜哨戒機などが集める核開発やミサイル発射を巡る情報を得たい考えだ。
日本側は在日米軍への物資補給や捜索救難、韓国に住む邦人の退避活動に必要な情報の提供を求めていくとみられる。
また、来年1月に発足するトランプ米新政権は、在日米軍と在韓米軍の効率的な運用を図るため、同盟国の日韓両国に更なる防衛負担を求める可能性がある。日韓GSOMIAは米国も歓迎しているが、日韓安保協力の強化は、米国に対する日韓の発言力の強化にもつながりそうだ。(ソウル=牧野愛博)
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《軍事情報包括保護協定(GSOMIA〈ジーソミア〉)》 政府間の防衛関係の秘密情報の交換を円滑にするための枠組み。情報の種類別にアクセスできる人を限定したり、書類や電子情報などの形態ごとに保管方法をルール化したりする。事前の承認なしに第三国に情報を提供したり、目的外で使ったりすることを禁じる。日本は米仏豪などと、韓国は米英ロなどと、それぞれ個別のGSOMIAを結んでいる。