穴が開いていたものと同じ型の点滴袋=22日午後、大阪市東成区、小林一茂撮影
大阪府立成人病センター(大阪市東成区)は、入院患者に投与していた点滴袋1袋に穴があいているのが見つかり、使用前のもう1袋から液漏れが見つかったと22日発表した。大阪府警は通報を受け、器物損壊や威力業務妨害容疑などにあたるか調べている。
同センターによると、21日正午ごろ、9階病棟に入院中の60代男性に1リットル入り生理食塩水の点滴をしたところ、看護師が点滴袋から液が漏れていることに気づいた。袋を確認すると、袋の下部に針であけたような小さい穴が二つ見つかった。男性には約5分間、約8ミリリットルが投与されたが、今のところ体調に異常はみられないという。
点滴袋は、ふだんナースステーションで施錠できるケースに入れて保管されているが、この日は施錠されていなかった。
また、22日午前10時ごろ、別の看護師がナースステーションに保管していた未使用の点滴袋の注入口付近から液が漏れているのを発見。穴は見当たらなかったという。
同センターによると、点滴袋に異物が混入していないか、府警に調査を依頼した。同センターは「製造過程であいた穴か人為的なものかはわからない」とする一方、同様の事案は過去の記録になく「非常にまれな事案が2日続いたため、公表した」としている。
会見した左近賢人病院長は「施錠など管理が徹底できていなかった」と謝罪。今後、ナースステーションへの防犯カメラの設置や薬剤管理の徹底に取り組むという。
病院内の点滴袋をめぐっては、横浜市の病院で9月、異物が混入した点滴で入院患者が中毒死した。北九州市の病院でも複数の点滴袋に穴があいているのが見つかっている。