定期検査で停止中の九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が九電の予定通り、来月8日にも運転再開の見通しになった。鹿児島県の三反園訓知事は28日、再開をめぐる判断の支えにするとしてきた第三者機関「原子力問題検討委員会」の設置の議案を県議会に提出したが、採決は来月16日に決定。再開前に停止を要請しないことが確実になった。
川内1号機再開、事実上容認する姿勢 鹿児島知事
特集:川内原発
三反園知事は稼働中の川内原発の一時停止と再点検を公約に掲げて7月の知事選で初当選。8~9月の2回、九電に即時停止を要請したが拒否された。10月6日に定期検査で停止した1号機の運転再開については「どう対応をとろうとも、九電は稼働させていくことになる」として事実上容認する姿勢を見せる一方、「検討委が安全でないと判断した場合は強い対応をとる」と繰り返していた。
三反園知事は28日に開会した定例県議会に検討委設置に必要な費用300万円を盛り込んだ予算案を出した。だが県議会は2014年、再稼働に賛成多数で同意。原発の安全性を検証する検討委の設置には慎重論が根強く、丁寧な審議が欠かせない。設置は1号機運転再開に間に合わず、設置前に知事が独自に「強い対応をとる」ことも困難だ。
九電によると、1号機では22日までに核燃料を原子炉へ搬入し終えた。今のところ検査は順調といい、12月8日にも原子炉を再起動する予定だ。
立地県の知事に原発の稼働を止める法的権限はないが、電力会社が知事の意向を無視するのは難しい。7月の知事選で原発停止要請などの政策合意を交わして立候補をやめた平良行雄さんは「止めることが安全性確保の第一歩。本気で原発が危ないんだという気持ちは最初からなかったのかも知れない」と話した。(中島健、岩波精)