公開された国定歴史教科書の見本=東岡徹撮影
韓国教育省は28日、中学と高校の「国定歴史教科書」の見本を公開した。歴史教科書はこれまで日本と同じ「検定教科書」だったが、朴槿恵(パククネ)大統領が、偏向していると主張。反対を押し切って来年からの国定化を決めた。朴氏をめぐる一連の疑惑をきっかけに、反対論が噴出している。
李俊植(イジュンソク)教育相は28日、ソウル市内で記者会見し、新しい国定歴史教科書について、「生徒たちが特定のイデオロギーに偏らず、バランスの取れた歴史観と正しい国家観を持つことができるように開発した」と強調した。いま使われている検定教科書について「偏った理念によって書かれている」と批判した。来年3月の新学期から使うことを目指し、予定通りに国定化を進める考えを強調した。
歴史教科書の国定化をめぐっては、政府に都合のよい歴史観の押しつけにつながると批判が根強かった。特に軍事クーデターで実権を握った朴氏の父、故朴正熙(パクチョンヒ)大統領の扱いが焦点の一つだった。朴正熙氏は「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる経済成長を成し遂げた一方で、軍事独裁体制を続けた。朴槿恵氏が教科書の国定化で父を美化しようとしているとの見方もあった。
李教育相は「李承晩(イスンマン)と朴正熙政府の独裁で、韓国の民主主義が損なわれた事実と、独裁に抵抗した民主化運動の意義と成果についても扱った」と説明。一方で「漢江の奇跡」についても「目覚ましい経済発展と裏にある暗い点もバランスよく扱った」と強調した。
教育省は28日、「見本」をサ…