事故現場のラウンジの前に設けられた献花台に向かって黙禱(もくとう)する原三信病院の医師や看護師ら=4日午前9時33分、福岡市博多区、宮谷由枝撮影
福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院で3日夕、タクシーにはねられ3人が死亡した事故で、タクシーは約350メートルにわたって直進し、最後に急加速して院内に突っ込んだとみられることが福岡県警への取材でわかった。県警は押収したドライブレコーダーを解析するなどして原因を調べる。
死亡3人は入院患者と見舞客 福岡・病院にタクシー突入
病院に突っ込んだタクシー、数十m手前から急加速か
博多署の発表では、死亡したのは福岡市博多区豊1丁目の無職花田盛幸さん(44)と会社員の妻美佐代さん(44)、同区東比恵4丁目の無職遠藤一行さん(53)。他に20代の女性1人が重体となり、6人が軽傷を負った。
原三信病院によると、花田さん夫妻は事故当時、入院患者の遠藤さんを見舞いに訪れていた。夫妻のいずれかが以前この病院に入院した際に遠藤さんと知り合ったとみられるという。3人は病院東館の1階にあるラウンジ付近にいて、突っ込んできたタクシーにはねられた。
県警によると、JR博多駅方向から走ってきたタクシーは右折した後、現場の約350メートル手前で左折し、病院方向へ直進した。その後の目撃情報では、東館の数十メートル手前で急加速したという。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕された個人タクシー運転手の松岡龍生(たつお)容疑者(64)=福岡市西区小戸4丁目=は「ブレーキを踏んだが、止まらなかった」と説明。県警は容疑を過失運転致死傷に切り替えて調べる。
県警はタクシーの前方を撮影するドライブレコーダーを押収し、映像の解析を進める。タクシーはオートマチック車で、車両の不具合の有無についても調べる。
原三信病院は4日午前、事故があった東館1階のラウンジの前に献花台を設けた。平祐二院長(64)や看護師ら約50人が献花台の前で黙禱(もくとう)。次々に花を手向けた。平院長は献花後、報道陣に「皆様には多大なご心配をいただいております。今はただ、お亡くなりになった方のご冥福をお祈りし、それとともに負傷された方の一日も早い回復を心より祈っております」などと話した。