タイのワチラロンコン新国王は6日、国王を支える諮問機関、枢密院の議員10人を任命した。新任の3人はいずれも軍出身者で、クーデター後の軍事独裁体制のもとで、軍内バランスに配慮したものと受け止められている。
プミポン前国王の枢密院は19人で構成されていた。新国王は即位後の2日にプレム枢密院議長を再任。残る18人の議員が6日までに辞任し、新国王は10人を任命した。うちスラユット元国軍最高司令官ら7人が再任。新たに枢密院入りしたのは、ダポン・ラターナスワン教育相(退役陸軍大将)、ティーラチャイ・ナークワーニット前陸軍司令官(同)、パイブーン・クムチャヤ法相(同)。いずれも今の軍事独裁体制の中枢にいる人物だ。
パイブーン氏はプレム議長(元陸軍司令官、元首相)とその側近のスラユット氏に近いとされる。一方、ティーラチャイ氏はプラユット暫定首相と同じ陸軍最有力派閥「東部の虎」出身。ダポン氏はプラユット氏の軍予科学校、陸軍士官学校の同期だ。
枢密院内に陸軍内の勢力バランスを反映させた人選との見方がある。同時に、クーデター後の最高機関、国家平和秩序評議会(NCPO)の意向が強く働く可能性もありそうだ。閣僚2人の枢密院入りに伴い、内閣も改造される見込み。(バンコク=大野良祐)