情報提供を呼びかけるために新たに作ったポスター
東京・渋谷で1971年、沖縄返還協定の批准に反対する過激派のデモで、警察官1人が死亡した「渋谷暴動事件」。殺人容疑で中核派の活動家大坂正明容疑者(67)が指名手配されているが、45年が過ぎ、捜査は新しい局面を迎えている。警視庁によると、社会情勢の変化や高齢化で組織の結束力が弱まり、内部から情報が寄せられ始めているという。
警視庁は事件発生から丸45年の11月、有力な情報提供者に報奨金を支払う制度の対象にこの事件を加えた。上限は300万円。1カ月で27件の情報が寄せられ、「大坂容疑者に近い人が都内に住んでいる」というメールもあった。これまでの情報は、公開手配を始めた84年以降、平均すると年10件未満。11月以降、情報提供のペースは伸びており、新たに5万枚のポスターを全国に配った。
また、昨年から今年にかけ、中核派の元幹部や大坂容疑者と行動を共にしていた元活動家が、組織の内情を暴露する本を相次いで出版した。警視庁によると、中核派は10年ほど前、組織内で資金流用問題があり、処分や闘争方針をめぐって分裂が顕在化しているという。捜査幹部は「一体感が低下し、危機管理能力が落ちている印象だ。報奨金の額を上げれば、さらに内部からの情報提供が期待できる」と話す。
捜査の進捗(しんちょく)もみ…