22日、ロンドンの英国会議事堂の柵に車が突っ込んだ現場付近を調べる警察官ら=AP
ロンドン中心部の英国会議事堂とその周辺で3人が死亡、約40人が負傷した22日のテロ事件で、英警察は23日、射殺された実行犯はカリド・マスード容疑者(52)と発表した。英南部ケント州出身で、直近は中部に住んでいたとしている。1983~2003年に傷害やナイフ所持など複数の罪で有罪判決を受けたことがあるがテロ関連の犯罪歴はないという。
メイ首相は同日、同容疑者について、英国出身で「イスラム過激思想に感化された」との見方を示した。数年前に、英当局による過激派の捜査で関係者として浮上したことがあるが、現在は捜査対象にはなっていなかったという。
一方、過激派組織「イスラム国」(IS)系列とされる「アマク通信」は同日、「(ISを空爆する)有志連合国の市民を攻撃せよという呼びかけに応じ、ISの戦士が実行した」と犯行を主張する声明を出した。だが組織的関与は不明だ。
マスード容疑者は、国会議事堂につながるウェストミンスター橋で通行人を無差別にはねた後、議事堂の敷地に侵入して刃物で警官を襲った。その後、別の警官に射殺された。単独犯とみられている。
当局は22日夜から容疑者の関係先とみられるロンドンや中部バーミンガムなど6カ所を家宅捜索し、8人を逮捕した。英メディアによると、犯行に使われた乗用車はバーミンガムのレンタカー会社で借りられたものだったという。
ロンドン警視庁は23日、事件による犠牲者を、当初発表の4人から、警官の男性(48)と通行人の男女の計3人と修正した。また7人が重体という。負傷者のうち、当局が国籍を確認した29人は韓国やフランスなど、英国を含め11カ国に上った。日本人の被害は報告されていない。(ロンドン=渡辺志帆、ドバイ=渡辺淳基)