東日本大震災の2日前に開通した林業作業道。集落の山側にあって津波の浸水を免れ、避難所への支援物資の輸送に役立った=岩手県釜石市平田
東日本大震災のとき、一般の地図に載っていない道が避難や救援物資の輸送に使われて住民の命をつないだ。その教訓から、あまり知られていない道を洗い出し、災害時に生かそうとする取り組みが全国で進んでいる。
特集:災害大国 被害に学ぶ
「作業道がなかったら、一番大変な被災直後に人も物資も来なかった」
岩手県釜石市平田(へいた)の尾崎白浜地区。町内会長を務めていた佐々木岩夫さん(67)は振り返る。2011年3月11日の震災で、地区の半分ほどが津波で浸水し、高台の旧小学校に約300人が避難した。
中心部につながる市道はがれきでふさがれて通行できなかった。旧小学校と外部をつないだのは、震災2日前に完成したばかりの約1キロの林業作業道だ。
佐々木典子さん(49)の義母は避難後に体調を崩したが、作業道を通って病院に入院できた。「こういう道も防災マップに載せてほしい」と典子さん。作業道を造った釜石地方森林組合の高橋幸男参事は「作業道が災害時に役に立つとは思わなかった」と話す。
釜石市防災危機管理課は今年9…