記者会見するコロンビアのサントス大統領=12月9日、オスロ、田村剛撮影
南米コロンビアの内戦終結を主導した努力が評価され、今年のノーベル平和賞を受賞する同国のサントス大統領が9日、翌日の授賞式を前にノルウェーの首都オスロで記者会見した。国民投票で当初の和平合意が否決された直後に決まった受賞について、サントス氏は「天からの贈り物だ。和平実現を後押しした」と語った。
特集:ノーベル賞
コロンビア、半世紀の内戦に終止符 和平、議会が承認
コロンビアでは、52年間にわたり戦い続けてきた政府と左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)が9月に和平に合意したが、10月の国民投票では反対が賛成を上回った。その後、内容を修正した合意文書に双方が署名し、11月末に議会が承認して内戦終結が正式に決まった。
いったん頓挫したかに見えた和平交渉は、サントス氏のノーベル賞受賞に後押しされる形で改めて最終合意にこぎ着けた。サントス氏は会見で「コロンビア国民の名のもとに、とりわけ800万人の全被害者の名のもとに、この賞を受け取る」と表明。「受賞は国全体を奮い立たせた。我が国の歴史を変えつつある」と述べた。
また、サントス氏は和平交渉について「北アイルランド紛争や、イスラエルとパレスチナの例を参考にした」と説明。紛争が絶えない世界へのメッセージとして「不可能なことはない。粘り強い意志さえあれば達成できる。FARCとの和平も数年前まで不可能と思われていた」と語った。(オスロ=田村剛)