ノーベル賞授賞式後の晩餐(ばんさん)会に臨む大隅良典・東京工業大栄誉教授。右奥は妻の万里子さん=10日午後、ストックホルム、代表撮影
ノーベル賞の晩餐(ばんさん)会が10日夜(日本時間11日午前)、スウェーデンの首都ストックホルムの市庁舎で開かれた。医学生理学賞を受賞した大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)も、料理と華やかな会場の雰囲気を楽しんだ。
特集:大隅良典・東京工業大栄誉教授
晩餐会は市庁舎1階の「青の間」で午後7時ごろから始まった。カール16世グスタフ国王をはじめとする王族や、受賞者とその家族、招待客ら計約1350人が、燕尾(えんび)服やイブニングドレスに身を包んで出席した。
会場を彩るフラワーアレンジメントのテーマは、田舎の夏直前の風景。大隅さんを祝福するように、日本の桜をイメージしたアレンジメントも施された。
受賞者らが座った中央のテーブルの周りに約60個のテーブルが並べられた。食事の合間にはフルートとクラリネットの演奏や、コーラスなどが披露された。
午後10時半ごろ、各賞の受賞者の代表1人ずつが、感謝の言葉を述べた。大隅さんは英語で「酵母を約40年間研究してきた。この機会に酵母からのたくさん教えと贈り物をもらってきたことに感謝を伝えたい」とあいさつ。「特に酒が気に入っている」と続けて、会場の笑いを誘った。
文学賞の授賞式を欠席した米国の歌手ボブ・ディランさんはメッセージを寄せ、駐スウェーデンの米国大使が代読した。
晩餐会が終わって、午後11時50分ごろに滞在先のホテルに戻ってきた大隅さんは「一生に一度しかないことなので楽しみました」と答え、授与されたメダルについて「思ったより大きかった」と話した。(ストックホルム=南宏美)